経営者・幹部向けグループコーチングの効果|15年・1万人と向き合い確信した「1対複数」が組織を強くする理由

南CPOコラム
担当者
南 勇大

こんにちは。
『組織の左腕』でCPOを務める南勇大です。

前回のコラム「焼肉店をV字回復させて、社長に切られた27歳の日──私が「黒子のコーチング」 に切り替えた本当の理由」の続きです。

今回は、現場に通うスタイルを手放してグループコーチングに絞り込んでいった15年と 、1万人以上の経営者・幹部の方々と向き合う中で見えてきた「組織の悩みの中身」について書いてみます。

『組織の左腕』のコーチングの内容を知りたい方にも、コーチングのノウハウを知りたい方にも参考になる話だと思うので、ぜひ読んでみてください。

「1対1」ではなく「1対複数」へ──グループコーチングを選んだ理由

私のコーチングは、最初からずっと1対1ではなく、1対複数のグループコーチングです。

毎月10数社のクライアント先で、社長と幹部、ニューリーダーの皆さんと一緒に場を持つ。延べで言えば、15年で1万人を超える方々と向き合ってきました。

このスタイルになったきっかけも、第1回でお話しした焼肉店の経験にあります。

あのとき私は、現場の幹部の方々と組んで研修やコンサルを進め、売上をV字回復させました。社長は私たちを自走させたかったので、ご自身は一歩引いた位置にいらっしゃった。私もどんどん中に入り込み、結果として現場の仲間のような存在になっていきました。

けれど、やればやるほど、社長と現場の間には乖離が生まれていきました。社長から契約を切られたとき、組まなければいけなかったのは「私と現場」ではなく、「社長と幹部」だったのだと気づいたのです。

そこで作ったのが、社長と幹部が同じ場所に座ってコーチングを受ける、グループコーチングという形でした。

社長と幹部の間に私が入って通訳するのではなく、二者の対話が直接成立する場を、私が外側から設計する役割に回ったのです。

これは、よかれと思って人と人の間に入る怖さを知っているからこその設計でもありました。

AさんとBさんの間に入って仲裁すると、最初は感謝されます。けれど続けていると、いつの間にかAさんとBさんは、「間に私がいないと話せない」関係になってしまうのです。組織の中の風通しを良くしたつもりが、結果として風通しを悪くしている。そんな光景を、私自身も含めて何度も見てきました。

だからこそ、当事者同士が直接話せる場をつくり、私はその場の外で構造を整える。これが、私のコーチングの最初の「やらない」になりました。

現場に行かない、というスタイルの理由

もうひとつの大きな「やらない」が、クライアントの営業現場には基本的に行かない、というスタイルです。

店舗ビジネスや営業会社を支援していると言うと、「現場を見ないと組織の課題が見えないのではないか」とよく言われます。確かに、コンサル時代の私もそう思って、週に3日通っていました。

でも、今の私の答えはまったく逆です。現場に行かないほうが、見えるようになったのです。

例えるなら、自分の子供の身長の話です。毎日一緒に過ごしているお父さんお母さんには、子供が1cm伸びても、なかなか気づけない。ところが久しぶりにお会いした方には、「あれ、大きくなったね」と一目で分かります。

会社も同じです。中に入って毎週現場に通っていると、組織の変化が見えなくなります。一緒にいる時間が長くなるほど、現場の方々と仲良くなり、共感し、課題に対する自分の感覚が鈍っていく。外側から、少し離れたところから定期的に観察するからこそ、「ここは前と変わったな」「ここはずっと同じだな」が見えるのです。

その結果、私は桑田代表のニュージェネレーショングループに10年関わってきましたが、桑田代表のホストクラブには一度も行ったことがありません。見学に行こうとも思いません。

これは決して関心がないからではなく、「行かないからこそ見えることがある」と確信しているからです。

タッチポイントは月1〜2回。飲まない、遊ばない

そして「現場に行かない」とセットになっているのが、タッチポイントを最小限に絞るということです。

私のコーチングは、基本的に月1回、多くて月2回。それ以外の時間に、雑談ベースで連絡を取り合うこともなければ、会食や飲み会、ゴルフといった場で関係性を温めることもしません。

多くの支援者の方は、「もっと接触頻度を増やしたほうが関係性が深まるし、信頼も上がる」と考えると思います。私はその逆を選びました。

理由は、現場に行かないのと同じです。近くにいすぎると、共感しすぎてしまうのです。週に何度も顔を合わせ、お酒を飲み、悩みを聞いていると、その方の苦しさや迷いがそのまま自分のものになってしまう。気がつくと、コーチングではなく「同情」になり、組織を一段上から見るための距離が失われていきます。

月に1〜2回、限られた時間。その短い接点の中で、社長と幹部が真剣に向き合う場をつくる。終わったら、私はすっと外に戻る。一見そっけなく見えるこの距離感が、結果として「次の月までに、自分たちで決めて自分たちで動く」という自走の余白をつくっているのだと、今は感じています。

1万人と向き合って見えた、組織の悩みは驚くほど似ていた

15年・延べ1万人を超える方々のコーチングを通して、もうひとつ確信していることがあります。

業界が違っても、規模が違っても、経営者からよく聞く悩みのほとんどは「幹部が育たない」という一点に集約される、ということです。

「幹部が育たない」を分解すると、その中身はほぼ毎回同じです。幹部それぞれは優秀なプレイヤーとして動いている。ただ、社長と同じ方向を向けていない。社長と幹部の間でコミュニケーションが噛み合っていない。だから判断にズレが生まれ、組織として一枚岩になりきれない。

保育の現場でも、医療介護でも、営業会社でも、ITベンチャーでも、ホストクラブでも、起きていることの構造はほとんど変わりません。組織が大きくなるほど、社長一人で全員に届く声には限界があり、間に立つ幹部・リーダー層が機能しているかどうかで、会社全体のパフォーマンスが決まっていく。第1回の最後に「業界が違っても、組織の中で起こっている問題は驚くほど似ている」と書いたのは、まさにこの感覚です。

絞って絞って残った「社長と幹部のグループコーチング」

私もこれまでに、営業研修やコミュニケーション研修など、いろいろなプログラムを提供してきました。けれど、絞って絞って絞り込んでいった結果、最後に残ったのが、社長と幹部が同じ場でコーチングを受けるグループ型のコーチングでした。

社長と幹部、双方の「言いたいこと」「聞きたいこと」が同じテーブルの上に乗る場をつくる。私が間に立って通訳するのではなく、二者が直接ぶつかり、合意し、次の打ち手を決められるように構造を整える。社長が引っ張り、幹部が応える組織を、外側からそっと支える──。これが、現場に行かず、月1〜2回しか会わず、飲まず・遊ばずという「やらない」を積み重ねた先に行き着いた、私のコーチングの形です。

担当者情報
南 勇大

南 勇大

CPO / Head of Coach

上智大学法学部卒業。大学在学中に20歳で起業し、自身がマネジメントの壁にぶつかったことを機に研修・コーチングスキルを習得。その後、29歳で研修を主事業とする株式会社CLIを設立。保育、医療介護、営業会社、ITベンチャーなどクライアントの幅を広げ、述べ1万人以上に研修・コーチングを実施。組織の左腕代表の桑田がオーナーを務めるニュージェネレーショングループで社外人事顧問を8年間担い、幹部・リーダー育成や評価制度の構築を通じて、年商10億から50億への成長に寄与。桑田と共に実践してきた組織づくりのノウハウを多くの企業に広めるべく、組織の左腕にCOOとしてジョイン。研修コンテンツの開発やコーチ陣の育成マネジメントを担う。

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