主体性を生むために必要な3つの要素とは? ―― 関係性・自己効力感・自己決定が示す、人が自走する条件
こんにちは。
『組織の左腕』でCPOを務める南勇大です。
今回は「自主性から主体性が育つ順番」について書いてみます。
主体性には「育つ順番」がある

前回は、主体性と自主性はまったくの別物であり、組織ではまず自主性を目指すのがよい、という話をしました。では、その先にある主体性は、いつ、どうやって生まれるのか。今回はそこを掘り下げます。
最初は、外から動機づけるところから始まります。枠組みを与えて、やってもらう。それがうまくできるようになり、結果が出る。すると、本人に少しずつ自信がついてきます。
自信がつき、その仕事が楽しくなってくると、人は次の段階へ進みます。「もっとこうしたい」「今度はこういうことをやってみたい」。自分の内側から、そういう気持ちが湧いてくるのです。
これが主体性の芽です。外発的な動機づけから入り、成功と自信を積み重ねた先に、内発的な動機が育っていく。この順番を飛ばして、いきなり主体性だけを求めても、うまくいきません。
主体性を生む3つの要素

主体性が発揮されるためには、私は3つの要素が必要だと考えています。
それは、関係性、自己効力感、そして自己決定です。
まず関係性です。前向きで、良い関係がある。その土台がなければ、本人が「やりたい」と思う気持ちは、そもそも生まれません。
親子でも、社長と社員でも、働く仲間同士でも同じです。主体性が発揮されやすい関係を先につくる。すべてはそこから始まります。
次に自己効力感です。「これは自分ならできる」という感覚です。そのためには、ある程度のスキルや経験が要ります。手応えのないところに、主体性は宿りません。
そして自己決定です。自分でやると決めてやる。「やれ」と言われている状態のままでは、主体性は生まれないのです。
とはいえ、最初のうちは本人もなかなか自分では決められません。何をやればいいか見えにくいときは、こちらから「これをやってみよう」とリクエストします。
人から言われたことでも、やってみてできた。すると、「次は自分でやってみよう」が生まれてきます。そうやって少しずつ、自己決定の幅を広げていくのです。
ただし、本当に主体性のある幹部を育てようと思えば、半年やそこらでは難しいものです。半年で主体性を発揮している人は、もともと最初から主体的に動ける人です。多くの場合は、時間をかけて待つことになります。
十年続けた英語より、一か月の韓国語 ―― 娘に火がついた話
主体性というのは、いつどこで現れるか、本当に読めません。私自身、自分の子どもを見ていて、それを痛感した出来事があります。
私は英語が苦手なので、娘には話せるようになってほしくて、ゼロ歳から英語をやらせてきました。今は十歳です。枠組みを決めてずっと続けてきたので、ある程度は話せます。しかし、本人が心から英語をやりたい、という様子ではありませんでした。
ところがある時期、妻が韓国のアイドルオーディション番組を好きでリビングで見ていて、娘も横で一緒に見るようになりました。すると一か月ほどで、娘が韓国語を話しはじめたのです。
先日は、一緒に行ったカラオケで、ILLIT(アイリット)の曲を韓国語でペラペラと歌っていました。これには驚きました。
これが主体性なのか、と実感しました。
本人が「そうなりたい」「これを身につけたい」と思って、自分から習得していく。誰かが強いてできるものではありません。もちろん、親としての「英語を話してほしい」という意図とは、ずれています。
それでも私は、その気持ちを尊重したいと思っています。韓国語の本を買ってあげたりもします。しかし同時に、英語もやってほしいという親の期待もあるのです。
育てる側にできるのは、きっかけづくりと「待つこと」

ここが、育成の難しいところです。本人の主体性がまだそこに向いていないときには、ある程度こちらで枠組みをつくり、やるように仕向ける。けれども、それが本人の強みになってきたら、どこかのタイミングで「もっと英語もやりたい」と、自分から向かってくるかもしれません。
いろいろなきっかけと機会をつくる中で、本人が興味を持ったことは応援する。一方で、必要なことは続けさせる。このバランスは、組織の人材育成とよく似ています。
自主性という枠組みの中で組織を動かし、その人が結果を出せる状態をつくる。その先で本人が「これをやりたい」と思ったとき、それが組織の目指す方向と重なるのであれば、一緒に進んでいけばいい。そこから、新しい事業が生まれることもあります。
主体性は、出そうとした瞬間に、主体性ではなくなる。
だからこそ、順番と、待つ時間が要るのだと私は思います。